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UCLA 構内ー典型的な南カリフォルニア日和。

知識を生みだし、守り、広める ー そのすべては共同体としての取り組みです。だからこそ柳井イニシアティブでは2014年の発足以来、世界中の研究者、作家、アーティスト、さらにはそれぞれのやり方で日本文化に関わっている人びとをつなぐ活動を続けてきました。

ほとんどの場合、UCLAにお招きしてキャンパスで過ごしていただく形になります。これまで何年にもわたって、キャリアの長さも経歴もさまざまな何百人もの人たちを迎えてきました。滞在期間わずか数日で講義をしたりワークショップやゼミに参加したりする人もいれば、1学期にあたる10週間を通して滞在する人もいます。

当初、長期招聘者は、日本の大学の教授や博士後期課程の学生がほとんどでした。なかにはほかの文化領域で活躍する人たち、たとえば作家、翻訳家、評論家、アーティスト、ミュージシャン、デザイナー、建築家などもいましたし、それはいまも変わっていません。さらに、柳井イニシアティブが活動の幅を広げた2020年からは対象地域を広げ、世界中にいる日本文化研究者のネットワークを築き、その絆を維持することに力を注いできました。同時に、早稲田大学での短期招聘者の受け入れも始めました。

修士・博士課程の学生や博士課程を修了した若手研究者を支援し、日本文化研究の未来を形成するために一役買うこと。柳井イニシアティブの数ある活動のなかでもとりわけ重要なものであり、人文分野の多様性を育むというわたしたちの使命の核でもあります。

柳井イニシアティブが提供する博士後期課程の学生向けフェローシップの対象となるのは、UCLAアジア言語文化学科および早稲田大学大学院文学研究科に在籍している学生のみです。その他、柳井イニシアティブでは毎年、世界各地の大学で博士後期課程を修了して間もない研究者向けのフェローシップも用意しています。早稲田大学の柳井イニシアティブ客員次席研究員/研究員フェローシップです。この博士課程修了者のためのフェローシップおよび早稲田大学の博士後期課程在籍中の学生を対象とした柳井イニシアティブ奨学金の手続きは、【

】タブをご覧ください。

2023年 BCLT 日・英 翻訳サマースクール
写真家: Anita Staff

グローバルな学問としての日本文学研究の未来は、なんといっても読者を引きこむ力のある翻訳および重訳で日本文学が出版され続けることにかかっています。これはなにも現代文学に限った話ではなく、近代、近世、前近代の作品でも、さらには、フィクションだけでなく評論やノンフィクションについても同じことが言えます。

翻訳があれば、日本文学、ひいては日本文化全般を教える教員も、日本語の知識や経験のない学生を講義に受け入れることができます。そういう学生こそが、この分野に一層多様でダイナミックな未来をもたらすカギとなるのです。だからこそ、2020年に活動の幅を広げることになった柳井イニシアティブがまっさきに取り組んだことの一つが、日本語から英語への翻訳をめぐる環境を強化することだったのです。そこには、いずれ英語以外の言語への翻訳も推し進めていけたら、という思いもこめられていました。

いまから10年か20年後、日本語から英語に――そしてやがては各国語に――訳された翻訳書が絶えず出版されつづける状態を目指すのであれば、まずは次世代の翻訳家を育成するところからです。そのために柳井イニシアティブでは、the British Centre for Literary Translation (BCLT)やthe National Centre for Writing (NCW)、the American Literary Translators Association (ALTA)といった由緒ある組織と連携しながら、多彩な取り組みに力を入れてきました。サマースクールやメンター制度を後援することで、翻訳家が切磋琢磨しつつ貴重な人脈を築ける場を用意したり、出版社と組んで新人翻訳家に腕試しのチャンスを与え、将来の訳書につなげてもらおうとしたりしています。こうした活動の目的もやはり、人文分野の裾野を広げ、多様性をもたらすことにあります。

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その名も「贈るギャラリー」
贈り贈られ、お好みのギフトでご支援いただけます。

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