翻訳サポート
日本文化研究がグローバルな分野として長く生き残れるかどうか、その決め手となるのが翻訳です。日本語がわからない人が、文学、演劇、映画、ビデオゲーム、学識等、なんであれ日本語の文化的・知的制作物に親しもうと思ったら、他言語への翻訳にたよるほかありません。その点では、少し興味がある程度の読者やゲーマーであろうと、将来の研究者であろうと差はないのです。
同時代の読者や観客が、自分たちの趣味やニーズに合った日本語からの翻訳物をいつでも手に取れるようにするには、そのような翻訳を生み出すことのできる熱心で有能な翻訳者が幅広く揃っていることに加えて、翻訳者同士、あるいは翻訳者と編集者や出版社を結びつける基盤が必要になってきます。
2020年に活動範囲を広げてからというもの、柳井イニシアティブは、日本語からの翻訳、とくに文芸翻訳をめぐるエコシステムの維持に主眼をおいてきました。American Literary Translators Association(ALTA)やNational Centre for Writing (NCW)やBritish Centre for Literary Translation(BCLT)といった権威ある組織と連携しながら、サマースクールやマスタークラスを開講したり、メンター制度を後援したりして、次世代の翻訳者の育成を支えています。また、出版社と組んで翻訳叢書を刊行することで、翻訳で読める日本文学のバリエーションを増やすとともに、新人翻訳者たちが業界への足がかりを築く手助けもしています。新人翻訳者が、翻訳者を選ぶ側の編集者や出版社の信頼を勝ちとるには、そうやって実績を積む必要があるのです。
柳井イニシアティブではこれまで日本語から英語への翻訳のみに注力してきましたが、他言語への翻訳支援にも力を入れていきたいと考えています。また、長期にわたり特定の作家の作品紹介を続ける独立系出版社に向けてなにかほかの形の支援ができないか、手探りで動きだす予定です。
日本語からの文芸翻訳の詳細については、こちらの
をご覧ください。